今市子 「五つの箱の物語」文庫 全1
作者名「い」は本当に充実しているなあ。今度は今市子かあ。
私はこの人の短編大好き。もちろん長編「百鬼~」も好きだけど、あれも一話完結
だしね。

この、箱にちなんだエピソードの短編集の中では「きみといつまでも休日」が好きだ。
一番ボーイズラブレベルが低いから?(なぜ百鬼以外はみんなあっちなんだろう)

とにかく。突然12センチになってしまった黒岩君に、献身的に世話を焼く小泉君が
いじらしい。ハンカチに穴を開けて貫頭衣を作ったり、ティッシュ箱に入り口と空気穴を
開けて個室を作ったり。このへんのやりとりのテンポ、小気味のよいこと!
事故によって意識不明になっていた黒岩君が回復すると同時に、小泉君の空想の
産物であったちっさい黒岩君は姿を消してしまうわけだけど、短い作品ながら
小泉くんに感情移入してしまいここでしっかり感動しちゃう。
16パージの作品とは思えないほど深みがあるよ。

他の短編もどれも語るに足る珠玉の作品で…。
「図書館で会いたい」と「花曇り」に見るような連作の時間の遡り。今さんではよく見るけど
これって後の話の方をそうとう細かく作りこんでおかないと描けない。
この人の頭はどうなっておるのか、不可思議だ。

短編集だから短くしようと思っていたのについ力がはいってしまった。

萩尾望都さん、山岸涼子さんと並ぶ短編の名手だと思うので4点!
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by nanako_6150 | 2006-04-25 22:09 | 作者名 あ行 25件
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