空間を無限に感じさせる不思議な構図が、こわい。
ストーリーは、別に語りたいほどのことはないな。日常に潜む異様は 大人たちの預かり知らぬところで、子供たちが起こし、収めてしまったというお話? たぶん真価は画面上の革新なんだと思う。 序盤は刑事たちがある団地での連続怪死事件を追っていくという大人目線で 進められ、コマ割も一定の大きさで人物が配置された淡々としたもの。 中盤から団地でのスペクタクル大戦となると、カメラアングルがまっさかさまだったり ものっごいあおったり縦横無尽。時々入る見開き場面も、建物がメインかのように 主人公を豆ほどしか描かなかったり。 それまで邪道であったり誰も思いつかなかった手法を、1983年に出版された この童夢で大友克洋は確固なものとしている。 ラスト、公園での悦子とチョウさんの静かな対峙。指一本動かさずチョウさんに 圧力をかける悦子の力が、読み手にも重苦しく伝わる名シーン。 そして大人たちが異変に気付かないなか、子供たちはわらわらと寄ってきて、 チョウさんの最後を見届けると、何事もなかったかのように日常へ帰っていく。 こわい。 日本人の子供の顔をここまで正直に描くひともレアだよな。3.5点。
by nanako_6150
| 2006-05-17 22:00
| 作者名 あ行 25件
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