表題作の中篇に短編6話を加えたちょっと厚めの一冊。
今までさんざん心理学的、哲学的言い回しを多用してきた川原さんですが 「フロイト1/2」ではまんま、深層心理学の創始者ジークムント・フロイトが フィーチャーされてるんで、そりゃもー濃厚で。 ニュートン・デカルト的枠組みを突破して「コペンハーゲン解釈」に問題が残るけど 結果「多世界解釈」なわけで。(P26) てそんな小難しい話じゃないけどね。 魂だけの存在となったフロイトが、小田原で提灯売ってるからね。「風呂糸屋」とかいって。 「良い夢」を呼ぶ二つ一組の提灯を二人で分けてしまったため、夢を共有する ことになった男女の物語。 今読み直したけどこれ、桜井敦子様がでてるんだよなー、「笑うミカエル」で 一臣殿下と見合いするあのお嬢様。ゲームソフトの登場キャラとしてネコカブリーズが 出てるけど、敦子様は実在キャラ扱い。穴田アナばりのマルチっぷり。 いやー、毎回断られてかわいそうだのう。 伯爵様から成金にターゲットを下げているところに必死さをかんじる。 表題作以外では、デビュー作「たじろぎの因数分解」が収録されてるのが見所。 初期はほんと絵が大島弓子だぜ。茶髪のツヤ線の入れ方とか。 でもやはりタイトルからも分かるように、不必要と思われるほど、部分的に堅い。 数学だけが恐ろしく苦手な主人公が、数学教師と義兄弟になってしまうという わりとやっつけな設定なんだけど、主人公の級友であり成績優秀な堤(女)が ことあるごとに論議をふっかけ、「ゲシュタルト・チェンジしなさい」とか物申すのは さすが川原教授。すでにできあがっている! で、その堤が実は主人公のことを好きってゆう、要るのか要らないのかよく わからん設定まで含めて、このキャラのおかげで単純な少女マンガと一線を 画すことに成功してる。 本能的衝動と超自我が無意識への王道にシフトする作品集。ぎゃはー。4点!
by nanako_6150
| 2006-08-05 11:55
| か行 22件
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