原爆マンガって言っちゃっていいのか分からないけど、
最も秀逸な原爆マンガのひとつだと思う。 たった31ページの中で、広島を生きた人の 痛さがちょっと伝わるんだよ。 まさに言葉でなく心で理解できる。 「わたしは 腐ってないおばあさんを冷静に選んで 下駄を盗んで履く人間になっていた あれから十年 しあわせだと思うだび 美しいと思うたび すべて失った日にひきずり戻される」 すごい速さで復興して、日常を取り戻したようにみえる 広島で、いつまでも「だれかに死ねばいいと思われた」 という事実から逃れられずに生きる主人公の皆実。 そして、自分もたくさんの人間を見殺しにしたという思いから 誰かに思われて幸せになることを拒む。 ようやく自分の思いを打ち明けることができたとたんに、 坂を転がるように急速に生きる力が抜けていくラストが 衝撃的。 淡々とした、これ以上も以下もないといった語り口に 本当にこの国で起きた恐ろしい事実を思い知る。 でも恐ろしい、悲しいだけじゃない、妙に心温かくなる作品。 全3話あわせて、間違いなく傑作!5点!
by nanako_6150
| 2007-03-05 11:55
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