奥浩哉 「GANTZ」 1~19
奇妙なテンポ、異様な設定、執拗なエロ。

まだ謎が全然収集されてない段階なので、あんまり説明くさいこと書くのやめよ。
連載中でアレだけど、この作品の一番の盛り上がりは6巻~10巻かと!

6巻てのは仏像編がはじまるところなんだけど、それまでダメダメだった玄野が
GANTZの世界で戦いという居場所を見つけてしまい、増長していくのよね。
しかし、自分の驕りのせいで仲間が死に、ようやく自分にとって本当に大事だった
ものに気付く。
ひとり生き残った玄野は無気力に生活を続けていたけど、罰ゲームで付き合うことになった
地味な女子・小島といつしか心を通わせるようになり、こんどこそ大事なものを護ろうと
決意をする。

10巻ラストで、小島が幻想だったという夢を見て涙を流す玄野が本当に切なくて、
目が覚めてほっとしてまた泣く彼につられて泣きました。
「もう、俺は ひとりじゃない…」
いままで弟への劣等感を抱えて生きてきた彼は、ずっと人から認められたいと
思い続けていた。GANZの戦いのなかで一度はそれを得たが、結局それは
歪んだ優越感しか生まなかった。小島に愛されることでようやく解放されて、
「生きたい」と強く思うようになったわけですね。いい話だなあ。

ま、そこからいろいろあり、小島死んじゃうし、弟が敵だし、黒スーツ集団だしで
今現在どこで話に決着つけるか、まるで見えん!締め方によっては傑作たりえると
思うんだけど。

CGを駆使した精密な描写、迫力があるのに静止画のような妙な戦闘シーン、
リアルすぎてテンポの悪いセリフまわし、巨乳など、おさえたいポイントはさまざま。

結局説明くさいレビューになったけど、あんま深く考えずに読むことを薦める、4点!
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# by nanako_6150 | 2006-05-30 23:41 | 作者名 あ行 25件
大和田秀樹 「機動戦士ガンダムさん」 1
気をつけて。「さん」が付いているよ。別物だよ。

かの名作アニメのパロディー。とかって説明しなくてもタイトルで分かるっつーの。
しかしズルイよなあ、デキる男の代名詞シャア大佐を、アホキャラにしたら
そりゃおもしろいって。しかしこの崩し具合、半端じゃない。
赤くてツノがないと、スネちゃうんだよ。キシリア様に怒られて泣いちゃうんだよ。

ララァはつっこみ担当。
セイラは暴力担当。
アムロはニュータイプ能力を駆使してエロエロ。
やけにアッガイが活躍。
富野さんが怒んないか心配なほどの破壊っぷりだが、読めば読むほど好きになるから
不思議。
が、原作を知らないと気付かぬ高度なパロギャグも多いので難易度は高い?

ズゴックの爪をさっとゆでて三杯酢できゅーっといきたくなることうけあいの迷作、3.5点
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# by nanako_6150 | 2006-05-26 21:34 | 作者名 あ行 25件
大友克洋 「AKIRA」 全6
ストーリー、絵、演出、装丁、どの角度から切ってもパーフェクトなかっこよさ。

映画も素晴らしいんだけど、やはり凝縮されすぎているからね。大友克洋の深遠なる
脳内ワールドの真髄はこちら。もう、3巻末のアキラの力によるネオ東京の崩壊シーン。
執拗なまでに描き込まれたビルの美しさに唖然とするよ、変態的に美しいよ。
どのコマをとってもドラマチック。金賞とれます。

映画とは違ったり、全く出てこなかった設定もコミックスのおいしさ。
鉄雄のガールフレンドだったカオリは、コミックスでは大東京帝国を治める鉄雄様の
生贄(?)だし。3巻で活躍するミヤコ様(この人も映画ではちょい役の教祖様だったな)
の手下の超能力娘、サカキ・モズ・ミキは映画には出てこなかったけど、ミヤコの為に
忠実に働いてはかなく散っていく彼女たちにわりと泣かされる。

アキラや鉄雄、ナンバーズが超人的であるからこそ、金田・ケイの人間らしい生命力が
光って見える。

何もかも手に入れようとして全てを壊してしまう人間の性を根底に描いた作品だと思う。
とゆーことで「風の谷のナウシカ」と合わせて召し上がると更に絶品?5点!!
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# by nanako_6150 | 2006-05-21 11:54 | 作者名 あ行 25件
大友克洋 「童夢」 全1
空間を無限に感じさせる不思議な構図が、こわい。

ストーリーは、別に語りたいほどのことはないな。日常に潜む異様は
大人たちの預かり知らぬところで、子供たちが起こし、収めてしまったというお話?

たぶん真価は画面上の革新なんだと思う。
序盤は刑事たちがある団地での連続怪死事件を追っていくという大人目線で
進められ、コマ割も一定の大きさで人物が配置された淡々としたもの。
中盤から団地でのスペクタクル大戦となると、カメラアングルがまっさかさまだったり
ものっごいあおったり縦横無尽。時々入る見開き場面も、建物がメインかのように
主人公を豆ほどしか描かなかったり。
それまで邪道であったり誰も思いつかなかった手法を、1983年に出版された
この童夢で大友克洋は確固なものとしている。
ラスト、公園での悦子とチョウさんの静かな対峙。指一本動かさずチョウさんに
圧力をかける悦子の力が、読み手にも重苦しく伝わる名シーン。
そして大人たちが異変に気付かないなか、子供たちはわらわらと寄ってきて、
チョウさんの最後を見届けると、何事もなかったかのように日常へ帰っていく。

こわい。

日本人の子供の顔をここまで正直に描くひともレアだよな。3.5点。
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# by nanako_6150 | 2006-05-17 22:00 | 作者名 あ行 25件
岩明均 「ヘウレーカ」 全1
ローマとカルタゴの戦い、それに巻き込まれていくシラクサの人々の物語。

といわれてピンと来る人がどれだけいるかしら。塩野七生愛読者なら無問題かな。
でも全く倦厭する必要ございませんよ。そこは岩明先生、しっかりとした人間描写で、
決して歴史を追うだけの俯瞰マンガにゃなっていませんから。

この作品は岩明さんの描く天才の多様さも楽しめる。
主人公のダミッポス(へんな名前)はスパルタからの移民だが軟弱系。
争いを好まないが、恋人の釈放を賭けたローマ軍との戦いでは、知恵と女を使い
見事撃退する。まさに外柔内剛。
あと天才といえばアルキメデス大先生。シラクサの有名な発明家。
作中ではもう70過ぎの老人の為、チャーミングにボケているんだけど、この
奔放さとそれに似つかわしくない残虐な発明品のギャップが怖い。
超高速で飛んでくる巨石で攻撃されるローマ軍の見開きページ、「ひいぃ」だよまじ。
しかし、アルキメデス先生は言うわけです、
「わしの設置した防備もいつかは打ち破られ 敵がなだれこんでこよう。
そして恨みを込めた刃でわしを切り刻む…当然のことじゃ!」
こんな覚悟のある発明家を描ける岩明均がすごい。

現在連載中のヒストリエに向けて予感と期待を抱かせる秀作、3.5点。
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# by nanako_6150 | 2006-05-13 12:09 | 作者名 あ行 25件
岩明均 「寄生獣」 全10
あーこれも大好きだ。

人間の体内に侵入して脳をのっとり、人間を食料として生きる寄生生物がいたとします。
泉新一の体に進入した寄生生物は、脳にたどり着けず、新一の右手に宿りました。
人間の思考を保ったまま、寄生生物の驚異的な力を持つ稀有な存在となった新一は、
各地でミンチ事件を引き起こしている寄生生物と対峙してゆくことになります。
はたして、彼らは人間を滅ぼすために自然から送り込まれた使者なのでしょうか。

なーんつて、妙な語り口ではじめてみたことに意味はない。
これもまじめに感想書くと、長くてねぶたい文章になりそだ!
Moreにかきます。

ミギーとの別れ、再会に感涙なしに読めない。
ハリウッドで映画化するとか聞いたけどうそでしょ!?見ないよ。5点!!

More
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# by nanako_6150 | 2006-05-10 23:42 | 作者名 あ行 25件
久保帯人「BLEACH」 1~24
ユウレイの見える高校生・黒崎一護(葉くんじゃない)の前に突然死神(リュークじゃない)が
現れる。家族を護るために、死神・朽木ルキア(キルアと間違えるな)からやむなく力を
譲り受け、落ちた魂・虚(ホロウ)と戦う一護と仲間達の物語。
しょっぱなからつっこみまくってしまった。
でもね、シャーマンキングや幽々白書や攻殻機動隊との類似分析など
する気が起こらなくなるくらい、オリジナルで壮大でその上精密機器的構成な広がりを
見せていくから!大丈夫!

実際、6巻末から始まるルキア救出編ではあっちの世界・尸魂界(ソウル・ソサエティ)
に繰り出してのてんやわんやで、護廷十三隊なる死神集団の登場でキャラ数が急増。
単純に十三隊に隊長と副隊長で26人。それらが一気に出てくるから、オイオイ大丈夫かよと
思ったさ。
しかし、これだけの人数出して、無駄キャラが本当にいない!
弱いヤツから対戦していく形式ではなく、それぞれにしっかりとした背景を持っていて、
一護軍と戦ったり、戦わなかったり。みんながわりとバラバラに行動した結果、
最終的には20巻にてひとつの真実が明かされ、読者にカタルシスをもたらす…
ておおげさか?

まあ、あれだ。いつもどうりネタバレもへったくれもない感想書くから、もしもこれを
読む人の中に、これからBLEACH読もうと思ってる・もしくは読み途中だけどまだ20巻
いってないっていうタイミングの悪い人がいたなら、Moreは読まないでください。

あまり期待していなかったのに、なんてうれしい誤算か。
ギャグもわりとおもしろいが、2巻の「モラトリアムだな」がツボな私は
賛同を得られますか?5点!!

More
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# by nanako_6150 | 2006-05-08 23:51 |       か行 22件
石田敦子 「アニメがお仕事!」 1~4
五十音順が微妙に前後したのは最近買ったマンガだから。
今年の文化庁メディア芸術祭(2回行った。死)で推薦賞かなんか
取ってて、その場で立ち読みして気に入ったので。

双子のアニメーターの奮闘記。周囲の偏見や親の反対を受けながらも
憧れだった仕事を胸を張ってやる二人に感動させられます。
著者は元アニメーターだったというだけあり(というかそうでなかったら描かないか)
この業界の深部まで描かれていて、それだけでも唸るものがあるけど、
双子の姉・イチ乃と弟・二太の専門職社会でもまれていく様が
業界など超えた共感を生むのだと思う。
特に、2巻終りから3巻にかけての二太の挫折。焦りと過信の故の失敗。
そこから這い出すまでの長い葛藤は、どうにもリアルで胸が痛い。
うーむ。傑作の匂いが。

他、二人の広島弁や、イチ乃の野球語りなど、ちょいちょいすてきなエッセンスが。
あ、あと掲載雑誌のせいかな、イチ乃が巨乳です。

タイトルに恥ずかしがらず、読んだら勝ちだ、4点。
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# by nanako_6150 | 2006-05-06 23:59 | 作者名 あ行 25件
今市子 「楽園まであともうちょっと」 全3
借金取り浅田君とそのお客、旅行会社社長川江のラブストーリー。
それだけでも珍妙だけど、二人は男同士(あ、やっぱし)。
浅田君はローン会社社長の菊池と付き合ってるし、菊池には奥さんがいる。
川江は別れた奥さん小百合と暮らしてる。
川江の昔の男も山から下りてきて(…)もう六角関係!?

「大人の問題」にみるような、複雑に絡まった人間関係からストーリーが
紡ぎだされていくタイプの作品ですな。

でも単なるドタバタコメディーに終わっていないのは、キャラクターの
書き込みの深さもそうだし、設定がよく生きてる。
この作品の流れを進める装置は、サラ金のほかにもうひとつ、山登り。
川江に連れられてモニターとして参加させられた浅田君が、山に登ることで
かたくなだった表情をやわらげる。
やくざの争いになぜか山登りツアーで決着をつけることになったが、
なんだかんだのうちに解決。
普段金にしばられている人々が無心で山に登ることで解放されて、
ようやく素直な心に気付くという展開が、三巻ラストまでずーっと一貫されている。
やっぱりただのBLではない。

あ、でもわりときわどい描写もあるので苦手な人は気をつけて。4点!
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# by nanako_6150 | 2006-05-04 22:29 | 作者名 あ行 25件
今市子 「百鬼夜行抄」文庫 1~8
律、……好き。

しょっぱなから告白で入りたいくらいに、主人公の飯島律はすてきだと思う。
切れ長の瞳に工夫のないシンプルな髪型、愛想はないが家族思い。
恋人どころか友達もいない。臆病だが行動力はあり。
小さいころから霊や妖魔が見えるという難儀な特性をもつわりには、
わりとスロウな生活を送る男。
なんか、いいんだよね。

律語りはこれくらいにして。
飯島家と妖魔の共存を描く一話完結型の物語ですが、もう、今市子の真骨頂てな
ぐあいにストーリー構築の妙が光りまくってる。
読み進むうちに、作者の狙いが少しずつ分かってくる。
それは読者を騙す(…というと聞こえが悪い)もしくは惑わす(の方がしっくりくるか)こと。
妖魔とのやりとりの、不安な空気感を肌で感じさせること。だと思う。

その最たるは、文庫6巻収録「隣人を見るなかれ」かと。単に好きなんだけど。
まあ、この話はあらすじを書こうとすると否応なしにモロネタバレします。
物語は律を中心とした現在と、律の伯父の開を中心とした26年前とを平行して
描かれているのだけど、読者はふたりとも律だと勘違いするから同時間軸として
読み進めるんだよね。開はよく見れば律より面長でがっしり体系だし、律にいないはずの
友達までいるんだけど、「友達から紹介されたバイト」「来週は法事」等共通の
キーワードですっかり惑わされる。
だけど微妙にかみ合わない。律あんたいったいなにやってんの?
と不安に思ったら、もう今市子の術中というわけです。

他にも、風邪をひいてマスクと帽子を身につけているため正体が判然としない律を
いとこの司が疑う「待つ人々」とか、幽霊視点から描くとなぜか律のほうが不気味に
見えてしまう「秋しぐれ」など。ぞんぶんに惑わされます。

この作品も他の今作品に違わず、女性の存在感の強いこと。
いとこの司は、死んでしまった律の父親孝弘の体に住み着いた青嵐のファンだし、
祖父の代からの因縁の妖魔、赤間(偽名)もぶん殴る。
もうひとりのいとこ晶は石に封じられていた人三化七の三郎と普通に付き合っている。
でもたぶん最強は律のお母さんなんだろうな。

あ、今回のレビュー過去最長?もちろん5点!!
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# by nanako_6150 | 2006-05-01 22:49 | 作者名 あ行 25件